平成23年3月30日(水)

日本のダム問題とその技術による国際貢献

坂本忠彦先生

坂本忠彦先生

ダム設計・建設の権威、元建設省東北建設局長、
土木研究所長

講話概要

 今回の東北関東大震災・大津波に加え、福島原発事故から、世間で、水力発電の見直し論も出ていますが、当協会がこのテーマを決めたのは3月11日より前でした。
 御講話はダム問題のすべてにわたりましたが、その概要を記しますと、まず、ダムとは人工的に水を堰き止めたものだが、わが国での歴史は古く、既に日本書紀・古事記によれば、紀元704年に香川で満濃池ダム、716年には大阪で狭山池ダムが作られている。
 その方式にも土や岩を積み上げるアースフィルダム、岩だけのロックダムがあり、近代化後ではコンクリートによるが、それも重力式、空中式、バットレス式、アーチ式などに区分できるとし、それぞれ代表的なものを映写して説明下さった。アーチダムではわが国の黒部ダムが有名である。発電量では、原子力が57%、火力35%に対し、水力は僅か7%だが、原子力・火力に比べ運転しやすく安全でCO2排出が少なくクリーンエネルギーである。わが国の水力発電技術は世界でも高度で、特に、セメント量を従来の2/3とし土砂状のコンクリートで締め固めるRCD工法や、建設現場近くの品質の悪い砂・砂利でも、少量のセメントを添加して台形状にすることにより骨材の欠点を解消する台形CSG工法、また揚水ダム技術に優れる。外国では日本の技術に期待しているので、明年、日本で「国際大ダム会議」を開催する予定との説明で、感銘しました。

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