科学技術部会作成要請書2本目、政府宛提出要請書39本目、平成元年12月提出
東京はじめ大都市の外郭にハイテクを駆使した高機能性衛星都市を構想頂きたき要請

【要請の趣旨】

高騰する土地問題、麻痺する都市機能などから、東京はじめ大阪・名古屋など大都市の改造が迫られております。いま、便宜上、大都市のうち東京を例にとって説明しますと、首都東京の人口は、約1200万人に達し、この一極集中により、機能麻痺を起こしていることは、すでに御承知のとおりであります。  これの打開策としては、一部に、東京23区の高層ビル化、東京湾大規模埋立の意見もありますが、これではさらに一極集中を激化させ、塵芥・下水処理や交通の面から見ても、却って混乱を招くことになります。また、遷都という構想も、現実的にはむずかしい状況です。
 そこで、私どもは、一極集中型を避け、東京・大阪・名古屋など大都市の機能を分散させる方法、すなわち国土庁の主張する「業務核都市」型構想を支持するものでありますが、その場合、単に地方自治体や民活まかせでは、魅力ある都市も出来ず、人も移住したがらず、また、当初から合理的総合計画なくしては、東京の街路と同じように雑然とした無秩序な都市となり、さらに業者の暗躍などで地価の高騰を招くなどの弊害も予想されます。
 そこで、私どもは、東京を例にあげれば、国(国土庁)が中心となって、例えば、都心から60キロメートルの円を描き、その円周をほぼ等間隔に区切って6ヶ所の地域を選定し、そこにそれぞれ100万人単位の都市づくりを構想したいと思います。(さらに100キロ圏にも)  そして、これらの都市は、東京の町並みのように雑然としたものではなく、当初から全体にわたって合理的に設計し、かつ、各部面にハイテクを駆使し、例えば、塵芥・屎尿・雑排水なども湿式燃焼法などの科学技術によって、その地域内で処理するなど、いわゆる「インテリジェント・コミュニティ(高機能性核都市)」にすべきだ、と提言するものであります。
 そして、その核都市には住居だけではなく、産業・工業団地も隣接させ、職住近接を考え、また、それら核都市と東京都内との高速交通機関を整備するばかりでなく、核都市相互間をも高速交通機関にて連結して、機能性・機動性を持たせることが、東京圏の機能回復・再構築のため、何よりも急がれねばならない、と考えるものであります。
 こうした構想は、一日も早く国が採り上げて企画しないと、地方の乱開発が進み、あとからでは手がつけられなくなりますので、早急の御措置を願う次第であります。

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