令和2年7月29日(水)

わが国を取巻く、最近の緊迫した
国際情勢の分析

齋木昭隆先生

齋木昭隆先生

外務省元アジア大洋州局長・
駐インド特命全権大使・
外務審議官・外務事務次官



概要

まず、新型コロナについては、コロナは外交を一変させた。 外務省も外国出張できなかったが、それでも、外務省の後輩たちは、新型コロナについては、コロナウイルス発症の地・武漢へチャーター機5機を手配し、 日本人を次々と帰国させた。また、EUを離脱したイギリスと日英貿貿易協定を締結したなど、 よい仕事をしてくれている 。また、 この新型コロナは、 すでに世界中に蔓延しており、感染対策は勿論大切だが、 他方、コロナのため世界経済の低減はひどく、日本も経済の落ち込みを極力抑える対策が必要で、安倍政権の「 GO TO キャンペーン 」も理解できる。
 次に、国際情勢分析として、まず、アメリカの大統領選挙だが、 トランプの74歳に対してバイデンは77歳で両者とも高齢なのが心配であり、 民主党の副大統領候補が女性なのも心配である。大統領選挙は一般に現職有利だが、 10月に行われる両候補によるディベート内容も影響するだろう。
  強大化する中国については、中華人民共和国70周年記念講話で、 習近平は「偉大なる中華民族の復興、 豊かになり、 強くなること」を挙げているが、復興は毛沢東路線、豊かになるはケ小平、そして「強くなる」こそ習近平の方針だ。現に政治、外交、経済各所に、その強さが現れている。
 アメリカのポンぺオ国務長官は、その中国を分析し、習近平は全体主義思想信奉者で世界覇権を狙っており、歴代大統領の対中政策は間違っていた。 いまや中国はアメリカの繁栄を脅かしている、等々と対中政策の大転換を訴えている。これは、政権が代わっても基本的に変わらないだろう。
 日露関係では、北方領土の帰属を確定するための平和条約締結交渉が最大の懸案だが、 日ソ共同宣言だけを交渉の基礎としたのは問題である。 しかし、 安倍総理は、岸信介総理、中曽根総理に次いで、 日米同盟の強化に務め、 集団的自衛権の行使と日米間で機微な軍事情報の共有を可能にした安保法制の整備を行った功績は非常に大きい。(清原記)

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